【Bizトレコラム】#5:①仕事が速いチームは、「仕事の渡し方」と「受け取り方」がうまい
できる部下×できる上司、最初に身につけたい6つの仕事術
「できる部下」と「できる上司」。
添付した2つの36選を見ると、それぞれに求められる行動は一見かなり違って見える。
部下側には、「結論から話す」「メモが速い」「報連相が早い」「期限を逆算して動く」といった、自分の仕事を前に進めるための行動が並ぶ。
一方、上司側には、「指示が具体的」「背景も説明する」「期待値を明確にする」「優先順位を示す」といった、部下が動きやすい環境をつくるための行動が多い。
ただし、実際の仕事では、この二つを別々に考えてもあまり意味がない。
上司が仕事を渡し、部下が受け取る。部下が仕事を進め、上司が確認する。途中で問題が生じれば、部下が情報を返し、上司が判断する。
仕事は、上司と部下の間を何度も往復しながら進んでいくからである。
そこで本シリーズでは、「できる部下36選」「できる上司36選」をそれぞれ単独で解説するのではなく、相互に関係するスキルを6組ずつ取り上げる。
全6回、合計36組。
第1回では、その中でも仕事を始める段階で特に重要になる6つを扱う。


1 「結論から話す」部下と、「結論を先に示す」上司
仕事の会話が長くなるとき、必ずしも説明の量そのものが問題とは限らない。
むしろ厄介なのは、聞いている側が「この話はどこに向かっているのか」を把握できないまま、説明だけが続いてしまうことである。
たとえば部下が、
「昨日A社と打ち合わせをしたのですが、営業の方からこういう話がありまして、そのあと先方から追加の要望が出て……」
と話し始めたとする。
上司としては、しばらく聞いてみないと、それが報告なのか、相談なのか、承認を求めているのかが分からない。
逆も同じである。
上司が仕事を依頼するときに、背景や事情を先に延々と説明してしまうと、部下は「結局、自分には何をしてほしいのか」が分からないまま話を聞くことになる。
そこで、できる部下は、
「結論から申し上げると、A案で進めたいと考えています」
と話し始める。
できる上司も、
「この案件はA案で進めてほしい。その理由を説明する」
という順番で話す。
ここで大切なのは、結論ファーストを形式的な話法として覚えることではない。
結論を先に共有することで、相手はその後の情報をどこに位置づければよいのか判断できるようになる。
「A案で進める」という着地点が分かっていれば、その後に続く説明も「なぜA案なのか」という文脈で整理して聞ける。
上司と部下の双方がこの順番を意識すると、会話時間を短くするだけでなく、認識合わせそのものがしやすくなる。
2 「メモが速い」部下と、「指示が具体的」な上司
「説明したつもりなのに、出てきた成果物が違う」
職場では珍しくない話である。
こうした場面では、部下の理解力だけが問題視されがちだが、実際には上司の指示の出し方にも原因があることが多い。
たとえば、
「競合について調べておいて」
という依頼を考えてみる。
これだけでは、対象企業、調査項目、用途、納期、アウトプット形式が分からない。
部下が自分なりに解釈して作業を進めれば、当然、上司が想定していたものとは違う成果物が出てくる可能性がある。
そこで上司側は、
「国内競合3社について、価格・主要機能・ターゲット顧客を比較して、金曜日15時までに1枚にまとめてほしい。来週の営業会議で使う」
程度まで具体化する。
一方、部下側も、口頭で聞いた内容を記憶だけに頼ってはいけない。
目的、成果物、期限、条件、確認事項を、その場で記録する。
ここでいう「メモが速い」とは、会話をすべて書き取ることではない。
後から仕事を再現するために必要な情報を、短時間で構造化して残せることを指す。
実務では、次の5点を押さえるだけでもかなり違う。
何のためにやるのか
何を作るのか
いつまでか
どこまでやるのか
誰に確認するのか
上司が具体的に渡し、部下が正確に受け取る。
この両方がそろって初めて、「言った」「聞いていない」という無用なやり取りを減らすことができる。
3 「指示の意図を確認する」部下と、「背景も説明する」上司
仕事には、表面的な指示と、その指示が必要になった理由がある。
この二つを区別せずに仕事をすると、指示通りに作業したのに、結果として期待に応えられないことが起こる。
たとえば上司から、
「この20ページの資料を10ページに減らして」
と言われたとする。
指示だけを見れば、ページ数を半分にすればよい。
しかし、その背景に、
「役員会で説明できる時間が10分しかない」
という事情があるなら、単純に内容を圧縮するだけでは十分ではないかもしれない。
場合によっては、20ページを10ページにするよりも、論点を3つに絞って5ページに再構成した方が目的に合っている。
そこで部下側は、
「10ページにする目的は、説明時間を短くするためでしょうか」
と確認する。
上司側も、
「役員会では10分しかないので、詳細を網羅するより、判断してほしい論点を絞ってほしい」
と背景まで伝える。
ここまで共有できれば、部下は細かな指示がなくても、目的に照らして自分で判断しやすくなる。
「言われたことを正確にやる」ことと、「相手が達成したいことを理解して動く」ことは同じではない。
自走を期待するのであれば、上司は作業内容だけでなく、判断の前提となる情報も渡す必要がある。
部下の側にも、「何をするか」だけで納得せず、「何のためにするか」まで確認する姿勢が求められる。
4 「期限を逆算して動く」部下と、「期限を早めに伝える」上司
納期管理が苦手な人というと、作業が遅い人を想像しがちである。
しかし実際には、着手するタイミングやレビューの置き方が悪いために、最後に時間が足りなくなっているケースも多い。
たとえば金曜日17時が最終提出だとする。
上司がその依頼を金曜日の朝に伝えれば、部下がどれほど段取り上手でも対応できる範囲には限界がある。
できる上司は、期限そのものだけでなく、仕事を組み立てるための時間も部下に渡す。
月曜日に依頼を受けられれば、部下は、
月曜日に構成を決める。
火曜日に情報を集める。
水曜日に初稿を作る。
木曜日にレビューを受ける。
金曜日に修正して提出する。
と逆算できる。
ここで差がつくのは、中間地点を設定するかどうかである。
最終期限だけを設定すると、上司が初めて成果物を見るのが提出直前になりかねない。
一方、構成段階、初稿段階、最終版というように途中で確認すれば、大きな方向修正が必要になった場合でも対応できる。
仕事のスピードは、作業そのものの速さだけで決まるものではない。
早い段階で方向性を確認し、やり直しを減らすことで、結果として全体の所要時間が短くなる。
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- 5 「報連相が早い」部下と、「期待値を明確にする」上司
- 6 「できない時は早く言う」部下と、「優先順位を示す」上司
- 「できる人」を個人能力だけで考えない
- 第1回のまとめ
- シリーズ連載
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