【Bizトレコラム】#5:②できる人は「相談・レビュー・修正」で仕事を止めない

仕事の途中で生じる「分からない・ズレた・失敗した」を、早く小さく修正する
吉澤 準特 2026.09.01
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第1回では、結論、目的、期限、期待値、優先順位など、仕事を始める段階で認識を揃える方法を取り上げた。

しかし、どれだけ丁寧に仕事を始めても、最初の想定通りに最後まで進むとは限らない。

調べてみたら前提が違っていた。
途中で判断に迷った。
上司が期待していたものと少し方向がずれていた。
思わぬミスが見つかった。

実務では、こうしたことが日常的に起きる。

ここで仕事ぶりに差が出る。

問題が起こらないようにすることだけではなく、問題が起きたときに、どれだけ早く相談し、必要なレビューを受け、軌道修正できるか。その能力まで含めて仕事力を考える必要があるからである。

ところが、「相談」という行為は意外に難しい。

部下からすると、

「こんなことを聞いたら、分かっていないと思われないだろうか」

「忙しそうだから、もう少し自分で考えよう」

「ある程度形にしてから見せた方がいいだろう」

と考えているうちに、相談が遅れる。

一方、上司は、

「困っているなら早く相談してくれればいいのに」

と考える。

ここには典型的なすれ違いがある。

相談しない部下だけが悪いわけでも、相談させない上司だけが悪いわけでもない。部下には「相談の質を高める力」が必要であり、上司には「相談を機能させる力」が必要なのである。

第2回では、その関係を次の6組から考えていく。

1 「相談の論点が明確」な部下と、「相談しやすい」上司

「ちょっと相談があるのですが」

こう切り出されて、話を聞いてみたものの、何について判断を求められているのか最後までよく分からない。

上司をしていれば、一度は経験したことがあるのではないだろうか。

たとえば部下から、こんな相談を受けたとする。

「A社の件なのですが、営業からこういう話が来ていて、先方とも話をしたのですが、開発からは別の意見も出ていて……」

情報はたくさんある。しかし上司には、自分が何を答えればよいのかが分からない。

相談では、情報量よりも先に「何について相談したいのか」を明確にした方がよい。

たとえば、

「A社から追加要望が出ています。納期を1週間延ばして対応するか、今回は断るか、この2案のどちらにするか相談したいです」

と伝えれば、上司は聞くべきポイントをすぐに理解できる。

相談する側が整理しておきたいのは、少なくとも次の3点である。

  • 何が起きているのか

  • 自分はどう考えているのか

  • 相手に何を判断してほしいのか

ただし、部下に相談の整理力だけを求めても十分ではない。

上司が日頃から相談を歓迎していなければ、部下は問題が大きくなるまで持ってこなくなるからである。

相談を受けるたびに、

「それくらい自分で考えて」

「今忙しいから後にして」

と返していれば、部下は次第に「相談しない方が安全だ」と学習する。

できる上司は、何でも答えを与えるわけではない。むしろ、相談されたときに、

「あなたはどう考えている?」

「どこまで分かっていて、どこから迷っている?」

と問い返すことで、部下自身に考えさせる。

相談しやすさと甘やかすことは、同じではないのである。

***

2 「質問が具体的」な部下と、「質問を歓迎する」上司

相談と似ているが、「質問」にも技術がある。

仕事を始めたばかりの人ほど、

「ここが分かりません」

という聞き方をしがちである。

しかし、「分からない」と言われただけでは、相手も何を説明すればよいのか分からない。

たとえば、

「この資料の作り方が分かりません」

では範囲が広すぎる。

一方、

「過去資料を3本確認したのですが、売上を受注ベースで集計するのか、計上ベースで集計するのか判断できません。今回はどちらでしょうか」

まで整理されていれば、上司は短時間で答えられる。

できる部下は、質問する前に一度自分で考える。

何が分かっているのか。
何が分からないのか。
何を調べたのか。
どこで判断できなくなったのか。

そこまで整理したうえで質問するため、相手に余計な解読作業をさせない。

ただし、ここでも上司側の姿勢が影響する。

部下が質問するたびに、

「前にも説明したよね」

「そんなことも分からないの?」

という反応をすれば、質問は出てこなくなる。

そして、質問されなくなったことを「部下が成長した」と勘違いすると危険である。単に聞けなくなっているだけかもしれない。

質問を歓迎する上司とは、何度でも同じことを教える上司ではない。

「どこまで調べた?」

「どこで詰まった?」

と確認しながら、考えたうえでの質問にはきちんと応じる。

この関係ができると、分からないことを放置せず、かといって何でも上司に聞くわけでもない、適度な自走が生まれてくる。

***

3 「1on1を活かす」部下と、「1on1を活かす」上司

1on1を実施する会社は増えたが、実際には「近況報告の時間」になっているケースも少なくない。

上司が、

「最近どう?」

と聞き、

部下が、

「特に問題ありません」

と答える。

そのまま案件の進捗確認をして30分が終わる。

これでは、通常の業務ミーティングとあまり変わらない。

1on1の価値は、日常業務の中では扱いにくいテーマについて対話できるところにある。

たとえば部下側なら、

「最近、案件が重なったときに優先順位の判断で迷うことが多い」

「顧客との交渉を任されたいが、何が足りないのか知りたい」

「自分では資料作成が課題だと思っているが、どう見えているか聞きたい」

といったテーマを持ち込める。

できる部下は、1on1を「上司が何か話してくれる時間」とは考えない。自分の仕事や成長について相談する機会として使う。

上司側も同様である。

1on1で上司ばかりが話してしまえば、部下から情報は出てこない。

「最近困っていることは?」

だけでなく、

「今の仕事で、時間を取られている割に成果につながっていないものはある?」

「今より一段難しい仕事を任せるとしたら、何に挑戦したい?」

など、少し具体的な問いを投げることで、普段の会話では表に出ない問題を拾いやすくなる。

1on1は、実施回数を増やせば機能するわけではない。

上司と部下の双方が「この時間で何を話すのか」を考えて初めて、日々の仕事を補完する場になる。

***

4 「前回の指摘を反映する」部下と、「フィードバックが具体的」な上司

レビューを何度しても、毎回同じところを指摘される。

上司にとっては、かなり疲れる状態である。

「前にも言ったよね」

と言いたくなる。

一方、部下からすると、フィードバックの内容が曖昧で、何を変えればよいのか理解できていない場合もある。

たとえば上司から、

「もっと分かりやすくして」

「もう少し考えて」

「資料が弱い」

と言われても、次回何を修正すればよいのかは判然としない。

そこで、できる上司は改善可能なレベルまで具体化する。

「このページは情報量が多いことより、結論が書かれていないことが問題だ。次回から各ページの上部に、そのページで伝えたいメッセージを1文で置いてほしい」

ここまで言われれば、部下は次回の行動を変えられる。

そして部下側に求められるのは、一度受けた指摘を、その成果物だけで終わらせないことである。

ある資料で、

「数字だけでなく前年比も入れた方が判断しやすい」

と指摘されたなら、次の資料でも同じ観点を確認する。

フィードバックを「今回の修正指示」として受け取るか、「今後も使える判断基準」として受け取るかで、成長速度は大きく変わる。

レビューのたびに上司が同じことを指摘しているなら、部下にフィードバックが蓄積されていない可能性がある。

反対に、部下が毎回違うところで迷っているなら、上司のフィードバックが十分に具体化されていない可能性もある。

レビューを成長につなげるには、伝える側と受け取る側の両方に技術が必要なのである。

***

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続きは、2745文字あります。
  • 5 「ミスをすぐ共有する」部下と、「困った時に助ける」上司
  • 6 「失敗時も原因と対策を出す」部下と、「失敗時も責めずに整理する」上司
  • 「相談すること」を、自走の反対だと考えない
  • 第2回のまとめ
  • シリーズ連載

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